その後、夜毎に、季節の木草をたづさへて、窓を
訪れる習ひとなつた。
これがこの男の変った癖で、心配事があって海舟屋敷を
訪れる時には、玄関の籐イスに腰かけて、頭をかかえて今更のように考えこむ。
聞き澄すと、潟の水の、汀の蘆間をひたひたと音
訪れる気勢もする。
ところが、精神の動脈硬化的症状は、意外に早くわれわれを
訪れる。
そしていまにも、その悲愁な謎を解くものが
訪れるのではないかと考えられた。
彼女は朋輩の売笑婦と違つて、嘘もつかなければ我儘も張らず、夜毎に愉快さうな微笑を浮べて、この陰欝な部屋を
訪れる、さまざまな客と戯れてゐた。
十年振りにその町を
訪れる機会が来たわけだと、私は多少の感懐を持つた。