一人のゲーテが、ドイツ全土の賞賛に浸っている脚下に、幾人の無名詩人が、平凡な
詩作に耽ったことだろう。
詩は作れないといつたが、こゝに別樣の意味に於て、なほ
詩作はつづけられてゐる。
そして去年の五月頃から、詩の数から言へば秋になつてから今年の一月までに八十余編の
詩作をして六十編余の詩を発表した。
といふことの方が、詩型のことや形式のことなどよりもはるかに
詩作者にとつて大切ではなからうか。
わたくしのやうな氣弱なものも
詩作上思ひきつて因襲に反撥を試みたのである。
のみならず、
詩作その事に対する漠然たる空虚の感が、私が心をその一処に集注することを妨げた。
私はまたこの現在の生活に不滿足な爲めに美くしい過ぎし日の世界に、懷かしい靈の避難所を見出さうとする弱い心からかういふ
詩作にのみ耽つてゐるのでもない。
これがアペイという邸宅で、ウオーキン・ミラーが晩年
詩作に耽った所なのだ。