蔵書家といっても、広い家に住んでいるとは限らないから、時には玄関の二畳ぐらいの処に坐って
読まされる。
これを
読まされると、自分はもう堪らなくなる、ふと目を挙げて「北に遠ざかりて雪白き山あり……」……、往きたいなあと、拳に力を入れて、机をトンと叩いた。
奥の声 無理に
読まされたことはあるが、面白くないから、読んだふりだけしておいたんだ。
「どんな人って……やっぱり本を
読むのが好きなんですよ。
ただ
読む筈だった紀行や地誌なぞが、未だに読み切れないのに弱っています。
老人の口から江戸の髪結床のむかし話を聴かされたのは、三馬の浮世床を
読まされるよりも面白かった。
それなのに、うかつにも銭を出したり
読まされたりしてゐることは全く馬鹿げてゐる。
無理をして余裕をつくり、いろいろ楽しい空想をして来たのにと思ふと、
読むために持つて来た本を見てさへいまいましくてならない。
云はば、中学の英語の教師が、イデイオムを探す為に、バアナアド・シヨウの脚本を
読むと、別に大した相違はない。
卿等にして若しこの遺書を
読むの後、猶卿等の故人たる予の記憶に対し、一片憐憫の情を動す事ありとせんか、そは素より予にとりて、望外の大幸なり。