幾すぢかの
谿を行きつめた山の入りから、更に、うなじを反らして見あげる様な、岨の鼻などに、さう言ふ村々はあつた。
月明の
谿々に、響きわたるさまは、何というか、いと物すさまじい其の場の光景でした。
頸に鈴をつけた牛が直ぐ近くにいて、耳を動かしてこちらを見ていたり、幾つかの鈴の音が下の
谿の方で鳴るのが聞こえたりした。
昼間は金毛の兎が遊んでいるように見える
谿向こうの枯萱山が、夜になると黒ぐろとした畏怖に変わった。
遽かに雲影みだれ飛ぶ美作の高原、黒尾峠を吹きめぐるは那義山の
谿にこもれる初嵐といふなるに
名ある山々をも眼の前脚の下に見るほどの山に在りて、夏の日の夕など、風少しある時、
谿に望みて遠近の雲の往来を観る、いと興あり。