父は
財産全部を忰の前に投げ出して、自分は思い切りよく隠居してしまった。
舞台 この小さき島にては、屈指の
財産家なる勝島の家の裏庭。
賢一郎
財産があって、人間がよけりゃ、なおいいでしょう。
のみならず彼女の服装とか、或は彼女の
財産とか、或は又彼女の社会的地位とか、——それらも長所にならないことはない。
身上だって
財産だって、潰れてしまうのあたりめえだ……」
これ倖いとはひょっとすると後妻のおそでの方で、康太郎は評判のおとなしい男で
財産も少しはあった。
若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は
財産を費ひ尽して、その日の暮しにも困る位、憐な身分になつてゐるのです。
郷里に帰るということと結婚という事件とともに、何の
財産なき一家の糊口の責任というものが一時に私の上に落ちてきた。
天災地変の禍害というも、これが単に
財産居住を失うに止まるか、もしくはその身一身を処決して済むものであるならば、その悲惨は必ずしも惨の極なるものではない。
小そのが永年の辛苦で一通りの
財産も出来、座敷の勤めも自由な選択が許されるようになった十年ほど前から、何となく健康で常識的な生活を望むようになった。