壁も柱もまだ新しく、隙間とてもないのに、薄い霧のようなものが、すっと這入っては、そッと爪尖を嘗めるので、変にスリッパが辷りそうで、
足許が覚束ない。
その声が、直ぐ耳近に聞こえたが、つい目前の樹の枝や、茄子畑の垣根にした藤豆の葉蔭ではなく、歩行く
足許の低い処。
博士のサナトリューム療院から退院するという日、柿丘は博士の
足許にひれふして、潸然たる泪のうちに、しばらくは面をあげることができないほどだった。
私は嫦娥などという中国人のことなどはよく知らないのですが、しかしお月様の中に棲んでいるという白兎が、ピョンと一跳ねして、私の
足許へ飛んできそうな気がしました。
そのときカランカランと音がして、長い竹竿が二人の
足許に転がった。
僕はいい気味で、もう一つ八っちゃんの頬ぺたをなぐりつけておいて、八っちゃんの
足許にころげている碁石を大急ぎでひったくってやった。
右も左も、
足許を見ても天井を仰いでも、すぐ手の届きそうなところに大小のパイプが、まるで魚の腸を開いたように、あらゆる方向に匍い並んでいます。
若い農夫は驚異の眼を※り、ほっと溜め息を吐くようにして、猟銃を自分の
足許に立てた。
子供は、よけてもらったのを感じもしない風で、彼の方には見向きもせず、追って来る子供にばかり気を取られながら、彼の
足許から遠ざかって行った。