そして、兎も角学校を卒業して——(もはや二年半)、無為な毎日をただ送るうちに、殆んど
辷るやうにして、たわいもなく斯様な憂鬱に潰されてしまつた。
膚の細い、黄い石や、黒い石の上を
辷ると、思いなしか、沈んだ、冴えた声をして、ついと通る。
おなじ蒔絵の台を離して、轅をそのままに、後から押すと、少し軋んで毛氈の上を
辷る。
街路は鏡の如く滑かで、少し油断をすると右に左に
辷る、大事をとつて、足に力を入れると一層
辷る。
街路は鏡の如く滑かで、少し油斷をすると右に左に
辷る、大事をとつて、足に力を入れると一層
辷る。
うまし、かるた會に急ぐ若き胸は、駒下駄も撒水に
辷る。
其處で、でこぼこと足場の惡い、蒼苔と夜露でつる/\と
辷る、岸の石壇を踏んで下りて、笠を脱いで、岸の草へ、荷物を其の上。