朧ろ朧ろの月の光も屋根に遮られてそこまでは届かず、婆裟として暗いその
辺りを淡紅色にほのめかせて何やら老人は持っているらしい。
そこら
辺りにやしおの花が鮮に咲き、丸味のある丘には一面茶の木が鶯餅を並べたように萌黄の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。
老人がそのような夜更しをするさえ既に危険であるのに、殊にこの
辺りの海は夜霧が多く話に聞けば兇悪な大鱶さえも出没すると云う。
この
辺りにはついぞ見かけぬ三人の若い男女が、赤外線写真のような裾野道をいくつかの荷物を提げながら辿り辿りやって来た。
時折、高い声がしても、それは直ぐに
辺りの騒音の中に、かき消されてしまった。
黒々と屹立するピラミツドの頂点
辺りに一際大きく光つてゐたのは古代埃及人が一番尊敬した天狼星でもあらうか。
東京の東寄りを流れる水流の両国橋
辺りから上を隅田川と云い、それから下を大川と云っている。
私達が丁度自宅の前
辺り迄来た時に、遙かに吹き荒ぶ嵐の中から人の叫声を聞いたと思った。
自分はその
辺りに転っている鉋屑を見、そして自分があまり注意もせずに煙草の吸殻を捨てるのに気がつき、危いぞと思った。
その後追いおいに気づいていったことなのであるが、この美しい水音を聴いていると、その
辺りの風景のなかに変な錯誤が感じられて来るのであった。