伝吉は平四郎に追われながら、父のいる山畠へ
逃げのぼった。
もうここまで
逃げて来れば、罠にかかる心配はありません。
』で、まだ三月三日にもなりませんのに、法師を独り後に残して、喘ぎ喘ぎ念仏を申しながら、竹杖をつく間もまだるこしそうに急いで
逃げてしまいました。
だんなに気があるならあると、すなおにいやいいのに、あっしの顔みたら、またまっかになって、いちもくさんに
逃げてきましたぜ」
彼はもとどおりに家のなかを歩きまわっていたけれども、当りまえのことであろうが私が近づくとひどく恐ろしがって
逃げて行くのだった。