多少の勇気も加味されていたかも知れぬが、要するに一期の
不覚と申すべきものであった。
だから、前後
不覚のうちに日蝕パレスへ遠征した筈は有り得ないのである。
どの電車もどの電車も、前後
不覚に寝そべった乗客がゴロゴロしていて、まるで病院電車が馳っているような有様だった。
そして、遂にその途中どこかにつき忘れて来たとは何たる
不覚ぞや! しかし、その友は、私が、そのステッキの代りに、健康を取り戻したことを喜んでくれるだらう。
文学が生命であると、さういふ考へ方に溺れてゐたことが非常に
不覚であつたといふ考へ方に傾いてきた。
つまり
不覚な失策のために信用を堕した人間のやうなものである。
今度は自分の
不覚を自分で叱る意で毒喝したのである。
が、苛だったあまりその太刀は、縁側と、座敷との間に垂れ下っている鴨居に、
不覚にも二、三寸切り込まれた。
そのときはもうドレゴは前後
不覚で、彼の体重は完全に水戸の身体に移っていた。
併し
不覚は是ばかりで無く、もっと致命的の大
不覚が、彼の身辺に起って来た。