恐らく黙つてゐるのが気づまりで、沈黙が恰も心中にうごめく
醜悪な怪獣であるかのやうに不快であるのかも知れない。
私はいつも理想をめざし、高貴な魂や善良な心を書かうとして出発しながら、今、私が現にあるだけの低俗
醜悪な魂や人間を書き上げてしまふことになる。
醜悪なる老年を迎へるのは当然佐藤春夫にのみ神神から下された宿命である。
あたりの料亭や茶店を
醜悪と見る人があるかも知れないが、私はそうは感じない。
俥が、横町へ折れたとき、僕の目の前に現れた建物は、もっと悲惨でした、悲惨というよりも、
醜悪といった方が、適当でしょう。
卿等は描きたる
醜悪の姉妹に対して、よく同情を表し得るか。
予は予が最期に際し、既往三年来、常に予が胸底に蟠れる、呪ふ可き秘密を告白し、以て卿等の前に予が
醜悪なる心事を暴露せんとす。
見よ其裁判の曖昧なる其処分の乱暴なる、其間に起れる流説の奇怪にして
醜悪なる、世人をして殆ど仏国の陸軍部内は唯だ悪人と痴漢とを以て充満せらるるかを疑わしめたり。
これらの木橋を有する松江に比して、朱塗りの神橋に隣るべく、
醜悪なる鉄のつり橋を架けた日光町民の愚は、誠にわらうべきものがある。