お品は矢のように起上ると防火扉の
閂にかかった監督の腕に獅噛みついた。
それを実地に役立てさえすれば、大きい錠前を※じ切ったり、重い
閂を外したりするのは、格別むずかしい事ではありません。
そして、その
閂の上までも一面に、蜘蛛手形に蔦の枝が匍っている。
そこには、黒漆塗の六枚厨子扉があって、青銅で双獅子を刻んだ
閂の上には、大きな錠前がぶら下っていた。
信心深い世間の親たちが、彼等を引留めても夜の間に
閂を破り、垣を越えて了ふ。
とたんにトントンと叩かれたのでハッと一足退いたが、連れて
閂がガチリと外れ、その音にまたギョッとしながら忠蔵は店へ飛び上がった。
が、相手は誰かと思ふと、朱鞘の大小を
閂差しに差した身の丈抜群の侍だつた。
「開門!」と侍は呼ばわった——すると
閂を抜く音がして、二人は這入って行った。