奇妙な黒い棺桶のような荷物をよく見れば、金色の厳重な
錠前が処々に下りている上、耳が生えているように、丈夫な黒革製の手携ハンドルが一つならずも二つもついていた。
それを実地に役立てさえすれば、大きい
錠前を※じ切ったり、重い閂を外したりするのは、格別むずかしい事ではありません。
隅の方についている門が入り口であろうが、掛け金や
錠前らしいものもなければ、呼鈴さえもない。
盤得尼が
錠前を外し扉を開くと、正面には半開きになっている太格子の網扉があって、その黒い桟の内側には、西の内を張った※子障子が、格の間に嵌められてあった。
両手でくり返しその
錠前を押えては、錠のぱちりと下りる音をじっと聞いているのだ。
錠前をおすといっしょに、空のうえにまい上がるのです。