すると、もう縛り上げる罪人の種が尽きたとみえ、いちばん最後に手ぶらでミルク屋を出ようとした土工体の男は、
入口に立ち塞がっているこの青年が邪魔になったとみえ、
それから、中央停車場へはいると、
入口にいた赤帽の一人が、突然千枝子に挨拶をした。
——その店先の雨明りの中に、パナマ帽をかぶった賢造は、こちらへ後を向けたまま、もう
入口に直した足駄へ、片足下している所だった。
そうしてその
入口の両側には、見上げるような大書棚が、何段となく古ぼけた背皮を並べて、まるで学問の守備でもしている砦のような感を与えていた。
入口の石段を、二三級上ると、扉が開いているので、中が見える。
目のあらい簾が、
入口にぶらさげてあるので、往来の容子は仕事場にいても、よく見えた。
その縄手を越えて、仕置場の前を通りぬけて、大森の
入口へ差しかかるのですから、昼は格別、夜はどうも心持のよくない所です。
入口の、幅の広い石段の一番下の段に家来が立つてゐる。
その小径は、毛莨や釣鐘草や簪草などのひ弱い夏花や、鋭い棘のある淫羊※、空木などの丈低い草木で覆われていて、その
入口でさえも、密生している叢のような暗さだった。
そうして罹災民諸君は狭い
入口から、各の室へ帰って行く。