冬の外套の腋の下に折鞄を抱えた重吉は
玄関前の踏み石を歩きながら、こういう彼の神経を怪まない訣には行かなかった。
御婆さんは愛想よくこう言いながら、すぐその
玄関のつきあたりにある、ミスラ君の部屋へ私を案内しました。
受附のような所で、罫紙の帳面に名前を書いて、奥へ通ると、
玄関の次の八畳と六畳と、二間一しょにした、うす暗い座敷には、もう大分、客の数が見えていた。
本間さんはとうとう思い切って、雨が降るのに荷拵えが出来ると、俵屋の
玄関から俥を駆って、制服制帽の甲斐甲斐しい姿を、七条の停車場へ運ばせる事にした。
が、K先生はどう思つたか、武さんを
玄関の中へ入れずに格子戸越しにかう言ふのだつた。
その中に、傴僂のやうな小使が朝の時間を知らせる鐘を振つて、大急ぎで
玄関を通りすぎた。
それから何故か思ひついたやうに、白い襟飾へ手をやつて見て、又菊の中を忙しく
玄関の方へ下りて行つた。
なれどもころび候実証無之候へば、右証明を立つ可き旨、申し聞け候所、篠、無言の儘、懐中より、彼くるすを取り出し、
玄関式台上へ差し置き候うて、静に三度まで踏み候。
この客間の西側(
玄関寄り)には、更紗の唐紙が二枚あつて、その一枚の上に古色を帯びた壁懸けが一つ下つてゐる。
離れで電話をかけて、皺くちゃになったフロックの袖を気にしながら、
玄関へ来ると、誰もいない。