彼はそのころある書店で古典の叢書編纂に当つてをり
飜訳者を探してゐた。
其将に外来種を主とする様に傾いた時期が奈良の盛期で、如何に固有の棚機つ女に、織女星信仰を
飜訳しようとしてゐるかゞ目につく。
尤、東京では、普通の山車を見せる事になつて居る様であるが、此は適当な
飜訳と言ふべきであらう。
前章にもあげた六角堂の霊験譚、鬼に著せられた著物の為に隠された身が、法力で其隠形衣の焼けると共に、人間身を表した男の話も、仏典の
飜訳とばかりは見られない。
わしが
飜訳大監として威張っとるうちに、ぜひ来て下されや」
純文学というものの稼ぎは中学生の駄文の
飜訳に遠く及ばないのである。
外国文書の
飜訳、それが彼の担当する日々の勤務であった。
彼の「維氏美学」の如き、「理学沿革史」の如き
飜訳でも、少しも直訳の臭味と硬澁の処とを存しない。
同時にだまされた病人と彼の家族に対し、盛んなる同情を喚び起し、また
飜訳書に依って日本の維新が西洋医学に端を発したことさえも知った。