其のすが/\しい花の
香や、しをらしい花の姿、枝ぶり、葉の色、いづれか人の心持ちを美しい世界に誘はぬものはない。
翅も脚もことごとく、
香の高い花粉にまぶされながら、…………
その外
香や茶にも通ぜし由なれど、その道の事は知らざれば、何ともわれは定め難し。
しかしこれさへ、座敷の中のうすら寒い沈黙に抑へられて、枕頭の
香のかすかな匂を、擾す程の声も立てない。
その頸には白い汗衫の襟が、かすかに
香を焚きしめた、菜の花色の水干の襟と、細い一線を画いてゐる。
」と、若女將のお光は、※物の
香や酒の
香の染み込んだらしい、醤油のやうな色をした竹格子の奧の板場から聲をかけた。