魔物のような濃霧は、窓がらすの上を這うように流れております。
赤々と沈む夕陽を見ると、私は可愛い
魔物の視線をよみがへらせてゐたのでした。
云い伝えによると、街の辻角や林の小径で
魔物に逢うのも、この黄昏れ時だといわれる。
とにかく遠くの方から、脳貧血という
魔物が、しのび足に寄って来て、すぐ背後のところでニヤニヤと笑っているような感じだった。
なにかの
魔物の仕業だろうと云うことになっていました」
彼女はだんだんに気味が悪くなって来て、物取りや巾着切りなどということを通り越して、なにか一種の
魔物ではないかとも疑いはじめた。
すると、プカという
魔物が彼の後に来ていきなり彼を自分の背中に背負い上げて仕舞いました。
私は、我々の生活に解き難い神秘と超越を与える奇怪な
魔物が、全てその不思議な源を遠く「死」に発しているように思えてならない。
ひる間はその波音が退屈しのぎであり、いろんな夢を思い起させたりしたが、夜中にふと目をさますと、それは恐しい
魔物の声のように思えた。
暗闇のなかから、恐ろしい
魔物がイキナリ飛びだしてきそうな気がして妙に不安でならない。