何にも事情を知らない私たちは、艙口を
上りながら、互に「どうしたのだらう」と云ひ交はしました。
僕は思い切って起き
上り、一まず後架へ小便をしに行った。
保吉はその日も勤め先から四時二十分着の
上り列車に乗った。
が、幸い父の賢造は、夏外套をひっかけたまま、うす暗い梯子の
上り口へ胸まで覗かせているだけだった。
雌蜘蛛はそこまで
上りつめると、今度はその莟と枝との間に休みない往来を続けだした。
当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都を発した急行の
上り列車の食堂で、白葡萄酒のコップを前にしながら、ぼんやりM・C・Cの煙をふかしていた。
これは風呂から出て、丁度
上り湯を使はうとした所らしい。
私は横須賀発
上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待つてゐた。