と階子段から声を掛けて、二階の六畳へ
上り切らず、欄干に白やかな手をかけて、顔を斜に覗きながら、背後向きに机に寄った当家の主人に、一枚を齎らした。
求馬は早速公の許を得て、江越喜三郎と云う若党と共に、当時の武士の習慣通り、敵打の旅に
上る事になった。
蜘蛛は巣が出来
上ると、その華奢な嚢の底に、無数の卵を産み落した。
すると、幸い門の上の楼へ
上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子が眼についた。
入口の石段を、二三級
上ると、扉が開いているので、中が見える。
そうしてとうとうしまいには、彼の射る白羽の矢ばかりが、まるで昼見える流星のように、たった一筋空へ
上るようになった。
この傾斜を
上り切って、ひょいと顔を出すと、槍ヶ岳の大身の槍尖が、すいと穂を立てている、そうして白い雪が、涎懸けのように半月形をして、その根元の頸を巻いている。
女乗り物の同勢はやがて坂を
上り切り、ちょっと一息息を入れると、そのままズンズン行き過ぎようとする。
すると、幸門の上の樓へ
上る、幅の廣い、之も丹を塗つた梯子が眼についた。
かう云ふ先生にとつて、奥さんと岐阜提灯と、その提灯によつて代表される日本の文明とが、或調和を保つて、意識に
上るのは決して不快な事ではない。