この暑いのに、文字通り立錐の
余地のない満員だった。
私は終日、年に似合はぬ意味も判らぬ難字——その方が感情を載せるのに収容力の
余地があるやうな気がして——を書き続けるのであつた。
「この辺を散歩していたろう」と言われ、「お前の捨てた煙草からだ」と言われたら、なんとも抗弁する
余地がないような気がした。
それは、日本に伝へられる種々の物語に徴しても、また、大勢の旅行家の見聞した事実に徴しても、疑ふ
余地はないといはなければならぬ。
一史家が鉄のごとき断案を下して、「文明は保守的なり」といったのは、よく這般のいわゆる文明を冷評しつくして、ほとんど
余地を残さぬ。
思慮分別の意識からそうなるのではなく、自然的な極めて力強い余儀ないような感情に壓せられて勇気の振いおこる
余地が無いのである。
しかし今年の後半期においてはそのようなことはすでに夢となっているだろうし第一もはや工作の
余地そのものが皆無となっているに違いない。
すべてこれらのことや、なおそのほかのことの書きぶり——彼の願いのなかに暖かにあらわれている真情——が、私に少しのためらう
余地をも与えなかった。
オマルのものかどうかなお多少疑いの
余地あるものは冒頭の番号を( )で包んだ。