道の四つ辻には必ず一かたまりの
塵埃が積み捨られてある三河島たんぼを兄と妹は歩いて居たやうに覚えます——。
ガソリンの臭いや
塵埃を浴びせられても平気になってるほど仙人にはなれない。
生ぬるい風が思い出したように、街路の
塵埃を運び込むほかには、開け放たれた窓の効能の少しもあらわれぬ真夏の午後である。
灼熱した
塵埃の空に幾百筋も赫く爛れ込んでいる煙突の煙。
左右の壁には、吊燭台や古風な瓦斯灯を真似た壁灯が、一つ置きに並んでいて、その騒ぎで立ち上る
塵埃のために、暈と霞んでいるように思われた。
塵埃の色をした苦力が一台に一人ずつそれを押していた。
雲霧は山につきものであり、
塵埃は都の屬物であるが、萬丈の塵は景氣が好い代りに少し息苦しい。
半生を東京の町中に多く暮して來た私などが、あの深い煤煙と
塵埃との中に息づいてゐるやうな幹も草も黒ずみくすぶつた都會の樹木を笑へた義理でもない。
齷齪とした生涯を
塵埃深い巷に送っているうちに、最早相川は四十近くなった。