有年は実父の喪中であつたが、馬琴が今夜こゝへ招かれて来るといふことを知つてゐて、食事の済んだ頃を見はからつて、わざと
後れて顔を出したのであつた。
閏のあった年で、旧暦の月が
後れたせいか、陽気が不順か、梅雨の上りが長引いて、七月の末だというのに、畳も壁もじめじめする。
玄関の戸を開いて中へ足を踏み込みますと、さあたいへん、僕は彼より五分間
後れて帰ったばかりに一大事突発です。
ずっと
後れて、土煙りが朦々と青空に立ち罩めて、幾台も幾台もの輜重車が躍ったり、跳ねあがったりして困難な行進をつづけていた。
その官吏をソロドフニコフは馬鹿な、可笑しい、時代
後れな男達だと思つてゐるのである。
西洋の印刷の歴史は、遙に東洋のそれに
後れて居ります。
社会性と処世との配慮はやや
後れてくるべきものであり、それが青春の夢を食い尽くすことは惜しむべきである。
小父さんは登志子の顔を見ると昼の汽車に
後れたことを彼女のためだといって責めた。