と直に松葉屋へ這入ると、婢「入らつしやい、お芽出たうございます、相変らず御贔屓を願ひます、モシ、ちよいと
御家内さん、福富町の旦那が。
が、その数多い御逸事の中でも、今では
御家の重宝になつて居ります地獄変の屏風の由来程、恐ろしい話はございますまい。
この少納言は、伽陵と云う名高い笙と、大食調入食調の譜とを、代々
御家に御伝えになっていらっしゃる、その道でも稀代の名人だったのでございます。
が、その數多い御逸事の中でも、今では
御家の重寳になつて居ります地獄變の屏風の由來程、恐ろしい話はございますまい。
これはみな三斎様(忠興)秀林院様、お二かたのおん焼餅より起りしことにて、黒田家の森太兵衛などにも、さてこそ不自由なる
御家法も候ものかなと笑はれしよしに御座候。
御家大事と勤め顔な大番頭の嘉助親子、年若な幸作、その他手代小僧なども、旦那や御新造の背後を通って、各自定まった席に着いた。
女主人にてなか/\の曲者なり、「小僧や、紅葉さんの
御家へ參つて……」などと一面識もない大家の名を聞こえよがしにひやかしおどかす奴、氣が知れないから不思議なり。
御家にて亂暴なる事をするものあり、早く往いてすくへと也。