私があまりの
恐ろしさに暫らく茫然として居ると、凡そ三分間ほど血を吸って、それを心地よげに嚥み下しながら、血に染った歯齦を出して、ニッと笑い、
従ってそこに法律という厭なものに触れる
恐ろしさ遣瀬なさが生じて来る。
木乃伊は赤と青の美しい着物を引きずって、
恐ろしさにふるえている姉さんと花子さんの傍へしずしずと近寄りながら、白い歯を出してニッコリ笑いました。
そして、その「正直さ」が、運命的とさへみえるところに、この日記全巻に漲る「
恐ろしさ」があり、人間ルナアルの不思議な魅力が潜んでゐるやうに思はれる。
白は余りの
恐ろしさに、思わず吠えるのを忘れました。
そのときは母の仲子は十六、七でしたが、そのときの
恐ろしさをときどき話していられました。
わたしたちに最も
恐ろしい事実はわたしたちのついにわたしたちを超えられないということである。
これは顔でも同じ事で、下顎骨の張つた頬のあたりや、稍大きい口の周囲に、旺盛な動物的精力が、
恐ろしい閃きを見せてゐる事は、殆壮年の昔と変りがない。
單四嫂子は感じの鈍い女の一人だったから、この「しかし」という字の
恐ろしさを知らない。
要するに、このごろに至つて地震の
恐ろしさが漸く分かつたので、神を祭つてその怒りを解かんとしたのであらう。