胸壁の上には無数の猿がゐて、
掌に盛つた宝石を食つてゐる。
玉をつかむ前に、
掌が、ごそごそとする毛のようなものにふれたからであった。
もしやそこらに落ちていはしまいかと門の外へ来てみますと、そこには一人の老人の乞食がいて、三粒の赤い丸薬を汚い黒い
掌に乗せて不思議そうに見ております。
「その指繊長にして、爪は赤銅のごとく、
掌は蓮華に似たる」手を挙げて「恐れるな」と言う意味を示したのである。
巻莨の手を控へ
掌に葉を撫して、何ぞ主人のむくつけき、何ぞ此の花のしをらしきと。
弟の藤二がどこからか健吉が使い古した古独楽を探し出して来て、左右の
掌の間に三寸釘の頭をひしゃいで通した心棒を挾んでまわした。
蝸牛を
掌にのせ、腕を這わせ、肩から胸へ、じめじめとした感触を愉んだ。
手にとってみるとしっとりとしたしめりを含んでい、
掌の上ですぐにも溶けてしまうような淡雪だった。