あすこへ行き
掛ると、列車が風を切つて飛んできて、目と鼻との間を轟々と行き過ぎることがある。
江東橋から電車に乗ろうと、水のぬるんだ、草萌の川通りを陽炎に縺れて来て、長崎橋を入江町に
掛る頃から、どこともなく、遠くで鳴物の音が聞えはじめた。
やがてむらむらと立昇る白い煙が、妙に透通って、颯と屋根へ
掛る中を、汽車は音もしないように静に動き出す、と漆のごとき真暗な谷底へ、轟と谺する……
残花が相者の下した或る判断を冷かすやうに薄笑ひながら否定して
掛ると、相者は忽ち威丈高に大喝して曰く、『それが証拠にはアナタの□□にホクロがある!』
そこで、先づ、僕の意見を述べて
掛るのが本統であらうが、僕は至つて議論が下手である——友人は明確な論理を以て居ないからだと云ふ。
奥「なにね畳がズタ/\になってるから足に引
掛るのだよ……殿様宗悦が」
と、続けて打って
掛ると、右に避け、左に飛んで、更に手応えがない。
棧敷の欄干連るや、咲
掛る凌霄の紅は、瀧夜叉姫の襦袢を欺き、紫陽花の淺葱は光圀の襟に擬ふ。
最う其の門を出はなれて、やがて野路へ
掛る處で、横道から出て前へ來て通る車の上に、蒋生日頃大好物の、素敵と云ふのが乘つて居た。