——其よりも、その際は、真に雲を
掴むやうに鏡花小史と稲亭主人を一緒にして呑みこんだことだつた。
小説家と違って本当の探偵だけに、いつでも
掴むのがうまい。
ガチャーンと大きな音がして、硝子には大孔が明いたが、すかさず手を入れて九万円の金塊を
掴むと、飛鳥のように其の場から逃げ去った。
これを
掴む時には、投身する前の覚悟も、助けられた後の後悔も心には浮ばない。
だが、二年もぶらぶら遊ぶことになると、その間に独学ででも文学をやるとしたら、何か
掴むところがあるだろうと思った。
省線電車の中に並んだ女達が慎ましく膝の上に揃えた指、乗合自動車の吊り革を
掴む女達の指。
が、哀しいことに、その人は一途なものを失っているので、その有難い天の啓示を
掴みとることが出来ないのであります。
機会を
掴むのにも、不断の努力と精進が必要なのであります。
落花の黒髮にかゝる風情、袂や裾に散る趣きも、今では皆がいきなり手を出して
掴むぐらゐな意でゐる。