革具と靴の店を出してゐる父は、不憫な息子のために、食ふ心配だけはさせないつもりでゐたから、彼は比較的のんきに、自分の好きな道を
撰ぶことができた。
帳場からそれを目礼で送つた深草乃里は、ポーチへちよこちよこと歩を運んで、夫人が平生自分で
撰ぶレコードの一枚を電気蓄音機にかけた。
最後に残つた候補作家七人のうちから一人を
撰ぶことは困難であつた。
明るい傾向の戯曲を
撰ぶといふやうなことは、わざわざ吹聴する必要はあるまい。
国家が伝統を重んじ、輿論の定まつたものに価値を与へる賢明な途を
撰ぶのは当然であらう。
その「ざわめき」の程度によつて、興行者は「当つた」かどうかを判断し、次の出し物を
撰ぶ参考にする。
従つて、ドラマツルギイなるものは、文法書と
撰ぶところはない。
劇壇の好事家並びに清教徒的演劇愛好者が、「参考のために」或は「純粋な芸術的欲求」を充たすためにこの種の舞台を
撰ぶことになるのである。
喜楽の中に人間の五情を没了するは世俗の免かるゝ能はざるところながら、われは万木凋落の期に当りて、静かに物象を察するの快なるを
撰ぶなり。
とりもなおさず平民の変化したもので、現に学生出身の官僚も少からず、老官僚と何の
撰ぶところがあろう。