(平家
没落の後、官女は零落してこの海浜にさまよい、いやしき業して世を送るも哀れなり。
浮草稼業の政治家だの芸術家はいくら有名でもいつ
没落するかも知れないし貧乏で浮気性で高慢で手に負えないシロモノだという。
一人の藤沢あるにしても、独善的に九段を与えて、呉清源や橋本の挑戦に応じさせないという
没落貴族の気位の如きものを持している。
しかし、そばによってよくよく見るとこんな追求性は、「どんらん飽くなき」と言った放恣さとしてよりも、出版資本の
没落したくない消極的な焦躁として私達の目に映る。
従つてその空想の奔馬は自在に荒れ狂つて、遂には果てしもない無有郷へ行くか現実をどうどうめぐりして、そのまま
没落してしまふ。
没落階級が「芸術」を見捨てたからだといふ説もあるが、「成長」といふ言葉を、そんなことに関係のない意味で私は使つてゐる。
当時既にこの層の
没落は、全農民階級中最も甚しく、私の家もまたその例にもれず只管に
没落への途を急いでいたのであった。