是丈は薄くつて
深みの有る色を出して見たいと骨折つて、木の葉の桜や何かの若葉の色を写して見たいと思つたりした。
さういふ隙が、生活の全体をふくらましてゐる場合があり、それが人間の愛嬌のやうなものにまでなつて、時には底の知れない
深みを与へることがある。
さみだれに庭のやり水瀬を
深み浅茅がすゑは波よするなり
が、今度はとうとう飛び損じて、凄じい水煙を立てながら、まっさかさまに
深みへ落ちこんでしまった。
東洋的な
深みや味は一重まぶたもしくははつきりしない二重まぶたにあり、長く眺めて飽きないのはやはりこの種の顔である。
まして釣は猶更のこと、その神秘な自然の
深みへ没入して、初めて溌剌たる魚を引掛け得るのだ。
「この頃我が胸に燃え上つたものはみな、すべて再び我が胸の
深みに沈んで行け……」といふツルゲエネフの「ファウスト」の終りにある言葉を思ひ出してゐる。
私の想像はその色が暗示する測り知られない
深みへ
深みへのぼつて行つた。
しかし信仰のあるモダンガール、モダン婦人はその
深みとクラシックとの対照のためにかえって非常に特色のある魅力と、ゆかしみが生じるものである。
はっと驚く暇もなく彼女は何所とも判らない
深みへ驀地に陥って行くのだった。