そこにまぼろしの眼に見えたのは高貴な偉大な七つの姿が大きな卓のかたちの円い
深淵の上に腰かけてゐるのだつた。
下の
深淵へ覗く様にして出張っている大蝦蟇形の岩があった。
あらゆるとき、あらゆる虚無の
深淵にのぞんで、読まれうる物語が書きたいといふ、私の念願はただそれのみでありました。
人間はかゝる一つの実存として漂ひ流れ、不安恐怖の
深淵にあるといふ。
僕が迷信の
深淵に陥っていた時代は、今から想うても慄然とするくらい、心身共にこれがために縛られてしまい、一日一刻として安らかなることはなかった。
私はここにいる三人はみな無の
深淵の上に壊れやすい仮小屋を建てて住んでいる人間たちなのだと感じた。
その八十吉は明治廿五年旧暦六月二十六日の午すぎに、村の西方をながれてゐる川の
深淵で溺死した。
情熱を欠きたる深幽は自からアンニヒレーチーブにして、物に触れて響なく、
深淵の泓澄たる妙趣はあれども、巨瀑空に懸つて岩石震動するの詩趣あらず。