家庭生活・郷党生活に「しきたり」を重んずる心は、近代では著しく
美的に傾いてゐる。
そしてそこからは新しくはなくとも、われわれに最も親しい
美的伝統を求めるがいい。
柳、蓼、蘆などのように、水辺の植物は水に配合して眺めなければその植物の
美的特徴を完全に受け取ることは不可能と言っていい。
人の顔は画家の心の中から画家自身すら気づかずにゐたいろ/\の
美的要素を引き出し、生かしてくれる。
しかもなほ力の窮まるを知らず、女子教育の必要を論じ、日本服の
美的価値を論じ、内務省の牛乳取締令を論ず。
しかし縊死することよりも
美的嫌悪を与へない外に蘇生する危険のない利益を持つてゐる。
一個の仙人掌は
美的鑑賞に上す價値があるばかりでなく、わたくしには耽美主義そのもののやうに考へられもする。
たとえば描写的なカットなどにおいては往々にして
美的要求だけがポジションを決定する場合がある。
もともと、服装は、実用的要求に幾分かの
美的要求が結合したものであつて、思想的表現ではないのである。
何をおいても、人間性の霊的・
美的教養の書物は逸することを恐れて、より高く、より美しきものをと求めて読んでおかなければならないのである。