「貴公じゃあるまいし、誰が
質になんぞ、置くものか。
親孝行ばかりでなく、七之助は気のあらい稼業に似合わない、おとなしい素直な
質で、近所の人達にも可愛がられていた。
質の好い鰹ぶしを濃かにかいて煮だし汁をとり、それよりもなほ一層濃やかに細い花瓣を盛つた樣にかき重ねた鰹魚ぶしをその煮だし汁に一つまんまるく落した餅の上に積む。
我等の尊敬するイギリスさえ統制主義國家となり、アメリカまた自由主義を標榜しつつ實
質は大きく統制主義に飛躍しつつある。
「元来僕はね、一度友達に図星を指されたことがあるんだが、放浪、家をなさないという
質に生まれついているらしいんです。
試みに先生等身の著作を以て仏蘭西羅曼主義の諸大家に比せんか、
質は※天七宝の柱、メリメエの巧を凌駕す可く、量は抜地無憂の樹、バルザツクの大に肩随す可し。
その上臆病者で、言いたいことも言わずにすますような
質でした。
それで、そうして得られた知識の範囲の違いは、推理の正しさよりも観察の
質にあるのだ。
談話の聽人は皆婦人で、綺麗な人が大分見えた、と云ふ
質のであるから、羊羹、苺、念入に紫袱紗で薄茶の饗應まであつたが——辛抱をなさい——酒と云ふものは全然ない。