が、道行にしろ、喧嘩にしろ、其の出て来た処が、
遁げるにも忍んで出るにも、背後に、村、里、松並木、畷も家も有るのではない。
蝦蟇法師は飛退りて、さも恐れたる風情にて鼻を飛ばして
遁去りける。
白い沫が、その上を回転して、両崖の森林を振りかえりながら、何か、禍の身に迫るのを、一刻も早く
遁げたいというように、後から後から、押し合って、飛んで行く。
泳ぎの上手なMも少し気味悪そうに陸の方を向いていくらかでも浅い所まで
遁げようとした位でした。
兎に角元就は、一度は陶に味方をしてその悪業を見
遁しているのである。
女中は
遁げ腰のもったて尻で、敷居へ半分だけ突き込んでいた膝を、ぬいと引っこ抜いて不精に出て行く。
たゞ余りに香の強きのみぞ、世を
遁れたる操高き人の余りに多く歌よみたらん如く、却つて少し口惜きかたもあるように思はる。
或は又わづかに身一つからくして
遁れたれども、資財を取り出づるに及ばず。