風采は上らぬといえ帝大出だし笑えば白い歯ならびが清潔だと、そんなことも勘定に入れた。
しかし、その上品な
風采に似ずその青年はまるで落付きがなかった。
その男は、成る程人の好さそうな顔をしてはいたが、余り
風采の立派な男ではなかった。
何でも奇俊王家郎と称されたと云うから、その
風采想うべしである。
渋い色金紗の羽織がきちんと身に合い、手首のしまったきびきびした才人めいた
風采が聡明そうに秀でた額にかかる黒髪と共にその辺の空気を高貴に緊密にして居た。
顔をあげてみると、そこには立派なる
風采のトマトのように太った大人が、女の子のような従者を一人つれて立っていた。
年かさの同僚が、彼れの振はない
風采を材料にして、古い洒落を聞かせようとする如く、年下の同僚も、亦それを機会にして、所謂興言利口の練習をしようとしたからである。
主人は客の
風采を視ていてまだ何とも言わない、その時奥で手の鳴る音がした。