この男は、頤の先に、鼠の尻尾のやうな髯を、申訳だけに生やして、踵が隠れる程長い※布衫に、結目を
だらしなく垂らした茶褐帯と云ふ拵へである。
黒八の襟が
だらしなくはだけて、紺献上の帯がほどけたなり、だらりと後へぶら下がっているのを見ても、余程、酔っているらしい。
これはその懐から
だらしなくはみ出したノオト・ブックの署名によると、やはり文科の学生で、大井篤夫と云う男らしかった。
ある時、父はそれを見るに堪えなかったのだろう、いかにも憎々しそうな、噛んで吐き出すような口調で、その
だらしなさを罵倒した。
おそらくひとりでぼんやりしているときは、どうにも
だらしのない顔をしているのであろう。
そして彼が急降下で落下したところには、肥えふとつた大きな虻が
だらしなく足をすくめてころがつてゐた。
いちじくの葉かげから見えたのは、しごき一つの
だらしない寝巻き姿が、楊枝をくわえて、井戸端からこちらを見て笑っている。
我五位の外貌はそれ程、非凡に、
だらしなく、出来上つてゐたのである。
いつか本郷座へ出た連中であるが、こうして日のかんかん照りつける甲板に、
だらしのない浴衣がけで、集っているのを見ると、はなはだ、ふるわない。