京阪電車の「稲荷」といふ
停留場の西側出口に立つと、簡易食堂、定食十銭と書いて、露路の奥を指してゐる看板が見える。
足を踏まれまいと用心し、ヨロ/\しまいと用心し、懐中物を掠られまいと用心し、其上に目的の
停留場を乗越すまいと用心しなけりゃならない。
真赤な達磨が逆斛斗を打った、忙がしい世の麺麭屋の看板さえ、遠い鎮守の鳥居めく、田圃道でも通る思いで、江東橋の
停留所に着く。
その
停留場の交番の横に、ちやんと、それが立つてゐるではないか!
聞けば中央停車場から濠端の電車の
停留場まで、傘もささずに歩いたのだそうだ。
自分たちは外套の肩をすり合せるようにして、心もち足を早めながら、大手町の
停留場を通りこすまでは、ほとんど一言もきかずにいた。
これは申すまでもなく、私の神経の迷かもしれませんが、あの先を急ぐ赤電車の車掌が、どうして乗る人もない
停留場へ電車を止めなどしたのでしょう。
そうして、電車の
停留場の方へぶらぶら歩いてゆくと、往来なかでちょうど半七老人に出逢った。
彼女は人の肩を押し分けるようにしながら、尾張町の
停留所の方へ歩いた。
「ここからあっちへ廻ってこの方向だ」と自分はEの
停留所の方を指して言った。