萩原晃この時白髪のつくり、鐘楼の上に立ちて
夕陽を望みつつあり。
池は雨中の
夕陽の加減で、水銀のやうに縁だけ盛り上つて光つた。
或る時は、綿のような雲の上に
夕陽を受けた雪山が見えたり、光を受けぬものは鋭く黒く見えたりした。
なほあり余る空地には犬と遊ぶ老人、子供を連れた乳母女中、逢曳の男女等が、干潮の潟の蟹の数ほど
夕陽の下に林の遠景まで続いてゐる。
それに赤い
夕陽が斜めに光線を投げて、木立の中に縞の赤い明るみを織り出し、尚一入の奥床しさを添えている。
しかし陸奥ゆえに、夏草の上を掠めて
夕陽を縫いながら吹き渡る風には、すでに荒涼として秋の心がありました。
ころがせ、ころがせ、びいる樽とめて、とまらぬものならば赤い
夕陽の、だら/\坂をころがせ、ころがせ、びいる樽。
夕暮わけもなく坂の上に佇んでゐた私の顔が、坂を上つて来る制服のひとをみて、
夕陽を浴びたやうにぱつと赧くなつたことも、今はなつかしい想ひ出である。