伝吉は平四郎に追われながら、父のいる
山畠へ逃げのぼった。
この国には
山にも森にも、あるいは家々の並んだ町にも、何か不思議な力が潜んで居ります。
何しろ塗
山の禹王廟にある石の鼎さえ枉げると云うのですからな。
或は「ればのん」
山の檜に、葡萄かづらが纏ひついて、花咲いたやうであつたとも申さうず。
それがしは日頃
山ずまひのみ致いて居れば、どの殿の旗下に立つて、合戦を仕らうやら、とんと分別を致さうやうもござない。
しかし汽車はその時分には、もう安々と隧道を辷りぬけて、枯草の
山と
山との間に挾まれた、或貧しい町はづれの踏切りに通りかかつてゐた。
僕は前に穂高
山はもちろん、槍ヶ岳にも登っていましたから、朝霧の下りた梓川の谷を案内者もつれずに登ってゆきました。
彼等はとうとう愛想をつかし、気の強い女中に言ひつけて猫を
山の中へ捨てさせてしまつた。