しかし、料理の才能がないのか、あるひは大急ぎのつけ焼刃であつたか、私はとても料理が下手で、自分の手でめんどうなお料理をこしらへてたべる
愉しみを知らない。
お茶の香りが部屋にあふれて、飲む
愉しみよりももつとたのしい。
話せば心が通じるであろうと思い、ひそかに会見の日を
愉しみにしておった。
とにかく戦争中は、酒をのむこともできないし、見物する見世物といってはないし、まことにヒマであるから、人生の
愉しみは読書である。
最初が小さい白鱚、後に青鱚になり、尺近くのを釣ると、ちよつと鮎に彷彿としてゐるから、あまり遠出せず、半日の
愉しみにも出られる訳である。
乱暴に白い足袋を踏みつけられて、キャッと声を立てる、それもかえって食慾が出るほどで、そんな下手もの料理の食べ歩きがちょっとした
愉しみになった。
安岡章太郎の「悪い仲間」と「陰気な
愉しみ」は、いづれも稀にみるすぐれた才能を示した短篇小説だが、これだけとしては出来栄えにやゝ物足りないところがある。
歳子は落付いてはゐられない
愉しい不安に誘はれて内玄関から外へ出た。
自分の掌のなかに彼女の手を把り緊めていると、わたくしのこの胸には、それまで想像だもしなかったほどの
愉しい気持ちが漲って来るのでした。