前にもいった通り、捕物帳が初めて『文芸倶楽部』に掲載されたのは大正六年の一月で、今から
振返ると十年あまりになります。
秋山は思わずぞっとして
振返ると、暗い雨のなかに其の声のぬしのすがたは見えなかった。
ただ無性に太刀を
振ることが、宗教的儀礼の一部であるように見えた。
霊宝館の廊下から
振返ると、二人の女中さんは前の小売店の所で何か話込んでゐるのが見えた。
踏切りの近くには、いづれも見すぼらしい藁屋根や瓦屋根がごみごみと狭苦しく建てこんで、踏切り番が
振るのであらう、唯一旒のうす白い旗が懶げに暮色を揺つてゐた。
岸へあがって五六間ゆき過ぎてから
振返ると、低い貸船屋も大きい栗の木もみな宵闇のなかに沈んで、河の上が唯うす白く見えるばかりでした。
忍んで小説を讀む内は、木にも萱にも心を置いたので、吃驚して、
振返ると、又ぱら/\ぱら/\といつた。