それでございますから、二条大宮の百鬼夜行に御遇ひになつても、
格別御障りがなかつたのでございませう。
しかし万一渡らなかったにしろ、君は
格別僕の手紙を予想しているとも思われないからその点だけは甚だ安心している。
広子は年ごろの妹に恋愛問題の起ったことは
格別意外にも思わなかった。
それを実地に役立てさえすれば、大きい錠前を※じ切ったり、重い閂を外したりするのは、
格別むずかしい事ではありません。
私の世話を焼いてくれる別荘番の夫婦者は、
格別用のない限り、いつも勝手に下っていたから、このうす暗い八畳の間は大抵森閑として人気がなかった。
当時、発表する意志も、発表する機関もなかった自分は、作家と読者と批評家とを一身に兼ねて、それで
格別不満にも思わなかった。
それでございますから、二條大宮の百鬼夜行に御遇ひになつても、
格別御障りがなかつたのでございませう。
L'home est rien と言わないにもせよ、わたしたちは「人として」は
格別大差のあるものではない。
それでも照子は子供らしく、飾窓の中のパラソルや絹のシヨオルを覗き歩いて、
格別閑却された事を不平に思つてもゐないらしかつた。