彼は本郷や日本橋よりも寧ろ寂しい本所を——回向院を、駒
止め橋を、横網を、割り下水を、榛の木馬場を、お竹倉の大溝を愛した。
彼はいよいよ悪意のある運命の微笑を感じながら、待合室の外に足を
止めた物売りの前へ歩み寄った。
そこでその卓子の側を通りかかったお君さんは、しばらくの間風をふせぐために、客と煽風機との間へ足を
止めた。
しかもその声を聞く毎に、神魂たちまち恍惚として、恋慕の情自ら
止め難し。
「さて今日はその方どもにちと頼みたい事があって、わざと、この宇治の亭へ足を
止めて貰うたのじゃ。
「——もう今日かぎり御姉様と御一しよにゐる事が出来ないと思ふと、これを書いてゐる間でさへ、
止め度なく涙が溢れて来ます。
しかもその人波は、三鞭酒のやうに湧き立つて来る、花々しい独逸管絃楽の旋律の風に煽られて、暫くも目まぐるしい動揺を
止めなかつた。
見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、
止め桶を前に控へながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑つてゐる。
見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、
止め桶を前に控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑っている。