だから当時の犯人はアリバイがどうだの、血痕がどうだのということよりも、ふだん虫も
殺さぬような顔をして行い澄ましているのが何よりの偽装手段であった。
私は、入社前までは虫も
殺さぬ順良な青年であったのであるけれど、純美な花蓮(?)もとうとう、見よう見まねで泥水に染まってしまった。
主人の妾と慇懃を通じて、そのために成敗を受けようとした時、かえってその主人を
殺すということは、どう考えても、彼にいいところはなかった。
それも己の憎む相手を
殺すのだったら、己は何もこんなに心苦しい思いをしなくてもすんだのだが、己は今夜、己の憎んでいない男を殺さなければならない。
血まみれになって働く穢さよりも、あの無邪気な生き物を
殺すのが厭だった。
もめんのきれだって、なわっきれだって、りっぱに人を
殺すよ。
死んでいいでこぼこ野郎が掃くほども世間にゃころがっているのに、おらがの辰を
殺すとはなにごとですかい! だれに断わって殺したんですかい!」
が、素戔嗚はその上に、黄泉路の彼女を慰むべく、今まで妻に仕へてゐた十一人の女たちをも、埋め
殺す事を忘れなかつた。