「えゝ、とてもいゝ主人で可愛がってくれましたけど、全然ムッツリ
黙り屋さんで、可愛がることしか知らない人なんですもの。
甚だ饒舌なる作家が、常に甚だ退屈なる
黙り屋を描く、また故なしとせずである。
それから帰る時、「もう帰ります」と云ふまで、
黙り続けてゐる——二時間でも三時間でも、時とすると半日。
その途中、元八が何か馴れ馴れしく話しかけても、殆んど唖のように
黙りつづけているのを見ると、彼女がこの不安な親切者を悦んでいないのは明白であった。
「いいえ、だんな、お
黙り! あっしがしゃべりだしたからって、そうそう目のかたきにしなくともいいんですよ。
だから、かれはきょうの催しがあっても、むろん最初から見物席のすみに小さくなっていて、そのあだ名のとおりしじゅう
黙り屋の本性を発揮していたのでした。
さっぱりどうも、俺には訳がわからないや!】イワン・ヤーコウレヴィッチはここで
黙りこんでしまった。