足音を忍ばせてだんだんに近寄ると、池の岸にひとつの黒い影の動いているのが、水明かりと雪明かりと星明かりとで
おぼろげに窺われた。
すぐ角を曲るように、樹の枝も指せば、
おぼろげな番組の末に箭の標示がしてあった。
私は、興味をもつて、ロシア語の「どん底」と、フランス語の「どん底」とがどう違ふかを、
おぼろげながら比較することができた。
以下
おぼろげに記憶を辿つて、私の足跡をしるしてみよう。
この時代の波に乗りきれぬ何かが、彼女の稟質のなかにあり、しかも、彼女は、
おぼろげな夢を抱いて前へ進まうとしたのである。
さういふ生活のなかで、私は、仏蘭西語の教科書を通して、
おぼろげながら、文学の匂ひを嗅ぎ覚えた。
茫漠たる人生の行路を思うとき、自分自身の運命について、
おぼろげながらも知りたいと云う気がしている。
それは恐らく創作の經驗を有つものが
おぼろげながら察し得る境地だらう。
フランス製品は、あるか無しかの、
おぼろげなさを特長としてゐる。
時々目を開けて見ると薄暗い舷燈の
おぼろげな光の下に円座を組んで叔父さんたちは愉快にやってござる。