地には小笹がしげっている、日の出前、雲のない西の空に赤城山が
ほのかに見える。
日中であるからはっきりは聞えなかったが、戦のさけびが聞えたり、火事の煙が
ほのかに見えた。
山桜は、散り果ててしまったが、野生の藤が、木々の下枝にからみながら、
ほのかな紫の花房をゆたかに垂れている。
ひそかに死骸を抜け出すと、
ほのかに明るんだ空の向うへ、まるで水の※や藻の※が音もなく川から立ち昇るように、うらうらと高く昇ってしまった。
さて、その花達に夜の間宿った露、朝日が射せば香わしい
ほのかな靄となって私達のもすそをしめらす。
それはごく
ほのかな気持ではあったが、風に吹かれている草などを見つめているうちに、いつか自分の裡にもちょうどその草の葉のように揺れているもののあるのを感じる。
私はその光がはるばるやって来て、闇のなかの私の着物を
ほのかに染めているのを知った。
その声が遠い国に多くの人がいて口々に哀歌をうたうともきければ、森かげの梟の十羽二十羽が夜霧の
ほのかな中から心細そうになきあわすとも聞える。