秋の赤蜻蛉、これがまた実におび
ただしいもので、秋晴れの日には小さい竹竿を持って往来に出ると、北の方から無数の赤とんぼがいわゆる雲霞の如くに飛んで来る。
妻はいよいよ怪しんで、火を照らして窺うと、籠のそばにはおび
ただしい血が流れていた。
宝とは一飛びに千里飛ぶ長靴、着れば姿の隠れるマントル、鉄でもまっ二つに切れる剣——
ただしいずれも見たところは、古道具らしい物ばかりである。
そのうちに、わたしが鋸山へ登って、おび
ただしい蛇に出逢った話をすると、半七は顔をしかめながら笑った。
しかもおび
ただしい松葉を積みくべたのは、そのうず高い灰を見ても知られた。
踊り子の親兄弟や見物の人たちで広い二階は押し合うように埋められて、余った人間は縁側までこぼれ出していたが、楽屋の混雑は更におび
ただしいものであった。
と見る間に箒ではきかけるやうなあわ
ただしい雨、私があわてゝ逃げ込んだのは、山の手のとある崖際の家の歌舞伎門であつた。
地球が生れて八十億年、その間にどのくらいおび
ただしい人間が生れたか数えられないほど多いが、宇宙塵に化した人間はただひとり、渋谷博士が数えられるだけである。
水と船と橋と砂洲と、水の上に生まれて水の上に暮しているあわ
ただしい人々の生活とを見た。