……やつれた束ね髪ででもありましょうか、薄暗い行燈のもとに筆をとっている、
ゆかしい、あわれな、寂しい姿が、何となく、なつかしく目に映る。
いひかへればこれこそ真の日本人として、世界のどの眼からも、親しみ敬はれるやうな「
ゆかしさ」と「凜々しさ」とを身につけることであります。
武力そのものにさへ、「
ゆかしさ」を添へなければ日本の武士道は成り立ちません。
この騒ぎが静まれば柳河にはまた
ゆかしい螢の時季が来る。
女中の髪でも、その丈長の工合など、
ゆかしいものでした。
あのどちらかと言えば、泥濁りのした大川のなま暖かい水に、限りない
ゆかしさを感じるのか。
その上に白い炭焼の煙が低く山腹をはっていたのはさらに私を
ゆかしい思いにふけらせた。